前書き
前回の記事で 11 月、12 月、そして来年 1 月の 3 ヶ月に渡って、合計 480 ペタハッシュがビットクラブのマイニングプールに追加されていくことを書きました。
じゃあ、この 480 ペタハッシュがどれくらいマイニング報酬に寄与するのか?もっと突っ込んで言えば、どんだけマイニング報酬が増えるんだ?を僕なりに考えてみました。
メガだろうがギガだろうがペタだろうが気になるのはそこ (= マイニング報酬) ですよね。
そもそもハッシュレートとはなんぞや?
ハッシュレートとは、採掘速度のことでマイニングマシンの処理能力を測定する単位です。1 秒の処理能力を表し hash/s と表記されます。
ハッシュレートが大きければ大きいほど処理能力が高いことを意味します。パソコンの CPU の処理速度が速い遅いっていうのと同じようなものです。
ハッシュとは何か?
ではハッシュとはなんでしょうか?
ハッシュはハッシュ値とも呼ばれますが、「値」という字がついていることからデータであることがわかります。
ハッシュ値は、あるデータから得られる固定長のデータのことです。例をあげてご説明しましょう。数式化すると
- データ x 計算式 (アルゴリズム) = ハッシュ値
です。
例 1 :「こんにちは」というデータからハッシュ値を求める
「こんにちは」というデータからハッシュ値を求めると
125AEADF27B0459B8760C13A3D80912DFA8A81A68261906F60D87F4A0268646C
という文字列が得られます。
例 2 :「今日は楽しい運動会」というデータからハッシュ値を求める
「今日は楽しい運動会」というデータからハッシュ値を求めてみると、
180B5FA865CA77FE39A27F60DC1CA276A18F316A5027273C3A602DC38B111D54
という文字列が得られました。これは「今日は楽しい運動会」から得られたハッシュ値です。
ハッシュ値の特徴
上記 2 つのハッシュ値は全く違うものであることがわかります。それではハッシュ値の特徴をご説明します。
特徴 1 : 数学的計算によって生成される
ハッシュ値の特徴 1 つ目です。ハッシュ値は、数学的な計算 (アルゴリズム) によって得られます。
特徴 2 : ハッシュ値の長さは同じ (固定長) になる
2 つめの特徴は、もともとのデータ(さっきの例の「こんにちは」と「今日は楽しい運動会」)が何であれ、必ず同じ長さのデータが得られます。
たった 1 文字のデータであっても 1 万文字のデータであっても、同じ長さのデータとして求められるのがハッシュ値です。
特徴 3 : ハッシュ値から元のデータは得られない
ここが面白いところで、ハッシュ値からもともとのデータを見つけ出すことはできない仕組みになっています。この特徴が暗号技術として使われている理由です。
話がすこしそれますが、ネットショッピングをするときに SSL による暗号化がどうしたこうしたという話を聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。
たとえばクレジットカード情報。かなり単純化してご説明しますが、SSL 通信を行えばこれを暗号化した上でネット上で送信することができます。仮にネット上で傍受されたとしても、傍受されたのが暗号化されたクレジットカード情報であれば、それを解読されない限り実害は発生しないでしょう。
そしてこの解読は著しく困難で、それをやる側からすると解読に時間がかかりすぎることもあり「それやるくらいならやらないほうが得だ」と思わせるほどのものになっています。
ペタハッシュとは?
ビットクラブが近々追加するマイニングパワーの総量は 480 ペタハッシュですが、このペタハッシュって何?を確認しておきましょう。
ペタは情報量を表す単位ですが小さいものから順に並べると以下のようになります。
- キロ = 1,000
- メガ = 1,000,000
- ギガ = 1,000,000,000
- テラ = 1,000,000,000,000 = 1 兆
- ペタ = 1,000,000,000,000,000 = 1,000 兆
- エクサ = 1,000,000,000,000,000,000 = 100 京
1 ペタ = 1,000 兆ですから 480 ペタは 48 京です。合ってるかな??ま、でっかい数字ということはお分かりいただけますよね。
480 ペタハッシュ追加がどれだけ意味を持つか
ビットクラブが 480 ペタハッシュをマイニングプールに追加するのはわかった。じゃあそれによってどれだけマイニング報酬が増えるのかを考えてみます。
まず以下のページを見てください。
これはビットクラブのビットコインマイニングプールの統計ページです。
Pool Effective Hash Rate (30 min average) というのは、過去 30 分間の平均ハッシュレートという意味でしょう。これが 355.42 PH/s と表示されています。つまり、ビットクラブのマイニングプールのトータル処理能力の実質的な値(理論やカタログスペックではない)が過去 30 分、平均 355.42 ペタハッシュだったということです。
次に Pool Hash Rate のグラフを見てください。
大体過去 20 日間くらいのハッシュレートがグラフ表示されています。横軸が時間、縦軸がビットクラブのビットコインマイニングプールのハッシュレートです。
今現在(この記事を書いているのが 2017 年 10 月 21 日)、ハッシュレートが 400 PH/s にも届いていないのがわかりますよね?
ということは、普通に考えて、
今ビットクラブが稼働させているぜーーーーーんぶのマイニング機材のマイニングパワー以上のものを、これから 3 ヶ月で導入しようとしている
ことになります。
だから、超単純に考えて今のマイニング報酬の 2 倍以上は分配されるようになるんじゃないかと考えたくなります。Pool Hash Rate のグラフも 3 ヶ月に渡って右肩上がりに増えていくと予想できます。
過去 20 日間で一番ハッシュレートが高そうなところにマウスを合わせてみるとそのときのハッシュレートが表示されますが、どうやら 340 PH/s くらいのようです。
480 PH/s は 340 PH/s の 1.41 倍です。単純に予測計算してみましょう。
いまマイニング報酬を 1000 円もらえている状況だとすると、1.41 倍ですからそれプラス 1410 円のマイニング報酬が追加され、2410 円のマイニング報酬がもらえる状況に変化することになります。
円で計算しましたがマイニング報酬はビットコインでもらえるわけですからビットコイン価格が今のように上がり続けるとこの 2410 円が更に跳ね上がります。
ビットクラブではマイニング報酬を再投資に回さないと行けないルールがありましたが、これは撤廃され、再投資に回さなくても良い設定ができるようになりました。
いかがでしょうか?
これからの 3 ヶ月でビットクラブが追加しようとしているマイニングパワーがものすごい量であることが単純計算ではあるものの期待できるレベルではないでしょうか。
もちろんビットコインマイニングは過当競争状態ですから、他のマイニングプールも増強していくでしょう。でも、ここのところマイニング機材をあまり追加できない状況にあったビットクラブのビットコインマイニングプールに起こるこの変化。インパクトは小さくないと僕は思います。